2014年1月

1月31日

 

吉祥寺と高円寺を結ぶ町起こし「テラトテラ」のインタビュー。

 

聞き手は、『ピン・ポン』『ふたごの星』で衣裳を担当している國時誠さん。

 

パートナーの國時里織さんとともに、西荻窪のファッションストア「STORE」を拠点に活躍している。

 

我が家から徒歩二百歩以内のご近所仲間でもある。

 

高円寺その他、「町ばなし」に花を咲かせる。

 

 

1月30日

 

座・高円寺の運営評価委員会。

 

四半期の事業報告と来年度の事業方針について説明。

 

20日に座・高円寺2で上演した、大衆演劇「橘大五郎一座」の話題ひとしきり。

 

昼夜満員の観客席を沸かせた表舞台と共に、楽屋回りをはじめ舞台裏のいかにもプロらしい整頓ぶりが印象的だった。

 

商店街へのサービスだけではなく、以前からの念願企画であったことを委員諸氏に説明。

 

 

1月29日

 

アカデミー修了上演稽古佳境。

 

第一部『赤と黒と無知』、第二部『缶詰族』ともに今回の上演の骨格がようやく見えてきた。

 

これで、これから一カ月、ぶれない稽古場をつくっていける。

 

座・高円寺のレパートリーにふさわしい、難解、かつ明快なテキスト。

 

肩の力を抜いて、シンプルにシンプルに。

 

 

 

1月28日

 

竹田恵子さんから、去年暮れに座・高円寺2で上演した『花のうた-林光<うたたち>のカバレット』記録DVDが届く。

 

とりあえずPCで内容を確認。

 

そのまま見つづけたいが、いまは時間がちょっと。

 

これまた四月休みのお楽しみ。

 

修了上演の台本読みなおしを今夜も。

 

 

 

1月27日

 

戦争三部作『赤と黒と無知』『缶詰族』稽古。

 

ペースダウンしてこれまで稽古の方向転換。

 

ひとつダメだしをするたびに、数倍の宿題が自分に返ってくる。

 

役者ともども、最初の難関にさしかかった感じ。

 

手を抜かず、歩みをとめず、ね。

 

 

 

1月26日

 

DVD、大量発注。

 

ワン・ビンの大作『鉄西区三部作』と『鳳鳴-中国の記憶』。

 

ジ・ジャンクーの初期作品『プラットホーム』。

 

そして、ツァイ・ミンリャン『楽日』。

 

計15時間以上、四月休みのお楽しみ。

 

 

 

1月25日

 

昨夜、書きあぐねていた原稿をようやく脱稿。

 

三年間つづけてきた「能と昆劇、交流プログラム」の記録論文集の序文。

 

手応えのあった作業だけに、きちんとした文章にまとめたかった。

 

なんとか短く、ひきしまった文が書けてのほっと一息。

 

源太郎さん、占部さん、重森くん、客演三人による「戦争三部作」第一部稽古を楽しむ。

 

 

 

1月24日

 

学芸大学時代、院のゼミをご一緒した東忠勝さんが亡くなった。

 

退職後編者をつとめた『学校という劇場から』(論創社)の筆者のひとり。

 

稽古前、告別式に。

 

六十歳、遺影の笑顔に胸がつまる。

 

研究会参加のおりにはかならず茶菓子を持参して下さったことなど、東さんならではの思い出数々。

 

 

1月23日

 

定期検診日。

 

血液検査と心電図など、いつものコース。

 

結果は小康維持、もう少し運動をというアドバイス。

 

担当医の応対のよさを今日も実感。

 

帰りがけ、いつもの通り膨大な薬を購入して稽古場へ。

 

 

1月22日

 

稽古前、区所管との定例ミーティング。

 

座・高円寺の劇場運営では、このミーティングをはじめ、行政の積極的な協力体制が支え。

 

歴代担当者の劇場上演観劇数の多さなど。

 

開館五周年を迎える年度に向かって、あらたな中期方針の検討を提起。

 

さらなる飛躍というよりは、腰をすえた見直し作業への取り組み。

 

 

1月21日

 

劇場創造アカデミーⅣ期生修了上演の稽古。

 

賛助出演者のプロ俳優との「第一部」も、修了生中心の「第二部」も、稽古の基本方法はまったく同じ。

 

あたり前といえばあたり前の話だが、いわゆる養成所の卒業公演ではたぶんそうはいかないのではないか。

 

修了上演は、この困難だが価値ある大作の本格上演に向かっての長いプロセスの一部としての意味が大きい。

 

たとえていうなら、遥か彼方のゴールへ向かっての駅伝リレーのような。

 

 

 

1月20日

 

劇場創造アカデミーⅣ期生、修了上演の稽古(第二期)が始まる。

 

占部房子さん、下総源太郎さん、黒テントの重森次郎、賛助出演者三人とつくる第一部は初稽古。

 

一日、二作品、一作品四時間ずつとはいえ、休憩を入れれば九時間、これから一カ月、濃密な時が待っている。

 

修了上演は、若い出演者たちの真っ直ぐなエナジーが凄い。

 

心身ともに深呼吸。

 

 

1月19日

 

小佐田定雄『青春の上方落語』(NHK出版新書)

 

鶴瓶、南光、文珍、ざこば、福團治、仁鶴と五人からの聞き書き。

 

登場する米朝、先代松鶴の両巨頭、枝雀、春團治などとあわせて、関西落語界の今日の隆盛を築いてきたそれぞれの人柄の逞しさ、爽やかさ、微笑ましさ、そして芸人らしい矜恃を感じさせる慎ましさが印象的。

 

編者の小佐田さんの愛情ある筆遣いがいい。

 

昨日読んだ立川生志『ひとりブタ-談志と生きた二十五年』(河出書房新社)の、師匠ゆずりのなんともいえない後味の悪さとは対照的。

 

 

1月18日

 

昨日は、顔合わせのあと午後6時半から、学芸大学の高尾隆ゼミの特別講義。

 

高尾さんと院生十数人が来館。

 

地下の稽古場で、あらかじめ届けられていた質問票をもとに、フリートーク。

 

フィデル・カストロもどきに三時間休み無し、一気の独演は自分でもはじめての体験。

 

集中を途切れさせない聴き手の居ざまに、『戦争三部作』への高揚が火に油を注いだ感じ。

 

 

 

1月17日

 

アカデミー修了上演、顔合わせ。

 

スタッフ、キャストあわせて50名近く。

 

ひとりひとり、短いコメントつきの自己紹介。

 

来年は劇場開館五周年。

 

蓄積が少しずつかたちをつくりはじめている。

 

 

1月16日

 

アカデミー修了上演、中間発表。

 

俳優たち自身の稽古、ぼくと生田さんがかかわった稽古、そして演出コースの三人が取り組んだ場面と、雑多な構成ながら2部と3部の途中までを通す。

 

あらためて音声化されたテキストと向き合い、ボンドのお話づくりの手際と面白さを再認識。

 

同時に、これだけの言葉を吐き出してみせる深い思考と(敢えて言えば)「負」のエナジーのすさまじさ。

 

一筋縄ではいかないからこそ、愚直な正面突破以外のたどるべき道筋はない。

 

 

 

1月15日

 

午前中、打ち合わせのために都心へ。

 

午後、修了上演の稽古。

 

ここまで約一カ月間の自主稽古の成果は確実にある。

 

「学ぶ者」から「演ずる者」へのシフトチェンジ。

 

それぞれのハードルをもっと高く、かつ自由に。

 

 

1月14日

 

朝、別件打ち合わせの一件のあと、午後から修了上演稽古。

 

今日明日と、明後日の試演会に向けてのピースづくり。

 

昨日プランした一期目の稽古の成果を集約する簡素なスタイルを出演者に伝え、試みる。

 

最後の通し稽古の前、稽古をしながら過去二回の『缶詰族』上演での読み違い(もしかしたら)に気づく。

 

これで今回の上演の方向性が一挙に具体的になったような気がする。

 

 

 

1月13日

 

水道橋宝生能楽堂。

 

銕仙会の例会、西村高夫さんの『翁』を鑑賞。

 

冒頭、揚げ幕から橋懸への堂々とした運びに思わず姿勢をただす。

 

後見役の清水寛二さんとあわせて、日頃、親しくしていただいているお二方によるせいか、いつもの『翁』とはまったく異なる味わい。

 

その後、座・高円寺に戻り、ダンスアワード、修了上演の稽古と目一杯な一日。

 

 

1月12日

 

アカデミー修了上演稽古のあと江戸川橋の黒テントへ。

 

夕暮れで目印のビルの外壁の緑色を見失い周辺を十分ほど迷走する。

 

現議長団メンバーと今年度以降の活動について。

 

こんな話し合いへの参画は何年ぶりだろう。

 

まだこの先、体制の準備に時間がかかるだろうができるだけの協働を期したい。

 

 

 

1月11日

 

体調、ようやく復調の兆し。

 

修了上演の稽古。

 

試演会に向けての基礎づくり。

 

手間をかけたいのは「演ずる楽しみ」の「核心」について。

 

舞台が「自由な場所」であることへの「確信」について。

 

 

 

1月10日

 

『ピン・ポン』オーディション。

 

オリジナル版の冒頭部分と最後のダンスを六人の候補者に。

 

指導する啓子の言葉を聞いていると、動作のひとつひとつを裏付けるための彼女の丁寧な作業の積み重ねがあらためて見えてくる。

 

昨秋の『しあわせ日和』で確認したパフォーマーとして個性の源泉である独特な周到さはここでも。

 

ツペラツペラのふたり、啓子とともに最終候補ふたりを選ぶ。

 

 

 

1月9日

 

床をはなれ劇場へ。

 

打ち合わせ一件とアカデミー修了上演の稽古。

 

まだ本調子ではなく、咳がひどい。

 

上海での昆劇院、思佳の症状とそっくり。

 

大事をとって早めに帰宅。

 

 

 

1月8日

 

明日からの活動再開を目指して、終日、ベッドで養生。

 

ひたすら眠る。

 

とりとめなき夢いろいろ。

 

近頃、夢に登場するほとんどの知り合いが、おおむね、20~30年前の若き日の姿であることに気づく。

 

夢の主人公たる自分自身の姿もまた。

 

 

 

1月7日

 

啓子の帰国日。

 

なんとか熱は下がったようなので、早起きして、床の掛け軸を正月用に掛け替え、雑煮の支度。

 

昼前、啓子と共に正月を祝う。

 

年賀状の整理、その他。

 

夜、七草粥……かくして、2014年の正月はあわただしく過ぎ去りぬ。

 

 

1月6日

 

どうやら風邪をひいたらしい。

 

朝、熱を測ると38度5分。

 

近所の医者に行き、薬の処方をもらう。

 

あとは一日家でゆっくりと旅の後始末。

 

用心のため今夜も早寝。

 

 

1月5日

 

朝、七時にホテル出発。

 

午後一時過ぎ羽田着の便で帰国(なんだか嫌だなー、「国に帰る」という表現。

 

真っ直ぐ自宅に戻り、とりあえず風呂。

 

疲れているような、いないような取り止めもない身体感覚。

 

荷解きは明日にのばして、早寝。

 

 

 

1月4日

 

昼、包さんの案内で地下鉄で田子坊へ。

 

清水さん、延江さんも同行して、みやげ物探し。

 

近くのイタリアンでランチのあと、みんなとわかれ、ひとりで町を散策したあと、劇場へ。

 

千穐楽。

 

南京を含めて六回公演のうち、もっともリラックスした観客席からのあたたかな拍手を受けて無事打ち上げ。

 

 

1月3日

 

午前中、今日もホテルの部屋でのんびり過ごしたあと、昼前、町へ。

 

地下鉄に乗り人民広場まで。

 

上海万博の折り、啓子と宿泊したホテルに近い懐かしい地下街と地上の目抜き通り。

 

例によって、あてもなくさまよい歩いたあと、ホテルに戻り劇場へ。

 

上海二日目、南京から通算五回目の舞台は、五作品とも昨夜を上回る満足できるパフォーマンス。

 

 

1月2日

 

朝食後、午後のランスルーまで部屋で読書。

 

しばらく忘れていたゆったりと流れる時間を満喫する。

 

19時からの公演は、ほぼ満員の盛況。

 

ダニーの新作を含めて『一卓二椅』五作品。

 

『駅』は上演後の観客の拍手に手応え。

 

 

1月1日

 

朝、部屋で清水さん、延江さんとお屠蘇と即席雑煮で元旦を寿ぐ。

 

二時から、現代芸術博物館でワークショップ。

 

十人ほどの若い参加者と二時間。

 

清水さん(能)と思佳(昆劇)による歩行表現の体験レクチャー好評。

 

上海万博時の通訳包さんと5時半にホテルで落ち合い、旧交をあたためる。