「島」と名付けられたなにもない場所。
「追放者」と名付けられた年老いた人物。
演じられる七つの物語。
「沈む船」
「光の町」
「王たち」
「待ちながら」
「叫び声」
「マシーン」
「横切る人」
七つの物語は、「追放者」が見る夢なのか? それとも「追放者」自身がつくり出す幻想なのか?
劇場という名の「孤島」に打ち捨てられた言葉たちに、いま、誰が耳を傾けるのか?
『演劇島』の作品手法について
佐藤のテキストコラージュによる舞台作品『リア』(2013年、座・高円寺)は、シェイクスピアの『リア王』(小田島雄志・訳)のテキストを、翻訳者の了解のもとに、「同一部分の反復使用を行わない」「元テキスト以外の言葉は使用しない」などの制約を設けた上で再構成した作品でした。元テキストの解体・再構成を通して、「悲劇」に内在する「救済と希望」を探求するという佐藤の意図は、出演俳優(リア/渡辺美佐子、影/植本純米、道化/田中壮太郎)好演を得て、劇場レパートリーとして三年間の連続上演(2013年~15年)をおこなう成果を得ました。
今回の『演劇島』は、前回『リア』の経験を踏まえながら、テキストコラージュを用いた「記録演劇(Documentary Theatre)」として、「歴史」に対峙する「物語」の役割を描き出す舞台作品です。
鴎座について
佐藤信(劇作家・演出家)の個人劇団として、1990年に発足。
旗揚げ公演/アントン・チェ―ホフ『伯父のワーニャ』主演・齋藤晴彦(俳優座劇場)。
以来、ハイナー.ミュラー『ハムレットマシーン』(アビニヨンオフ・イタリアビアレッジオ)/郭宝崑『霊戯』(香港、シンガポール)/『HER VOICE-サミュエル・ベケット「Happy Days」による―』(ダブリン演劇祭招聘・アイルランドゴールウェイ・パリ・北京)などの海外公演をはじめ、独自の上演活動を現在まで継続しています。
近年は、「極私的演劇最終章」として、『ラストダンス』出演・竹屋啓子/2022年~2024年(中野テルプシコール・若葉町ウォーフ・京都E9)、ベルナール=マリ・コルテス『森の直前の夜』出演・西藤将人/2023年~2024年(若葉町ウォーフ・京都E9・広島、高松、愛媛、島根ツアー)など、ジャンルを越境した小劇場作品の創造に積極的に取り組んでいます。