月27日

昨日にひきつづいて、『戦争戯曲集』第三部の初日。

四時間近くの上演時間、最後まで観客の集中は途切れなかった。

終演後の拍手に手応え。

テキストの力はもちろんだが、演出の生田さん、「女」を演じた桐澤千晶はじめ出演者全員への暖かな贈り物。

明日からの二日間、連続上演の成果が楽しみ。 


 
月26日

劇場創造アカデミーⅣ期生修了上演、第一部、第二部の初日。

客席の入りも良く、何か贅沢な雰囲気の幕開けとなった。

稽古場での積み上げが素直に反映したいい上演だったと思う。

演出担当者としては、こうして上演を重ねることによってテキストの骨格がより鮮明になったのがなによりもの収穫。

翻訳の近藤さん、ドラマトゥルクの長島さん、アカデミーⅣ期演出コースのアマンダの助力に感謝。 


 
月25日

作者エドワード・ボンドから稽古場へのメッセージ。

否応なく私たちの未来に生まれる子どもたちへの責任を説く。

アカデミー修了上演としてこのテキストへの取り組みを毎年つづけてきた意義をあらためて思う。

夜、第三部『大いなる平和』(生田萬演出)舞台稽古。

真新しい演劇人たちとともに、この舞台をひとりでも多くの観客へ。 


月24日

生田さん演出の第三部の場当たり、照明あわせ。

途中、第二部出演者と劇場を抜け出して階下のけいこ場でせりふあわせを二時間。

終わって、近所の床屋で散髪。

劇場事務室に戻り、原稿書き、事務仕事などいろいろ。

FBでお気に入りだった荻窪の中華料理店「胡堂101」の閉店を知り、驚く。


 
月23日

第二部出演者の自主的稽古。

スタジオに顔を出し、これまでの稽古の振り返りとテキストの整理を30分ほど。

午後の劇場での通し稽古ではなんとか復調。

夜、第一部、第二部つづけての舞台稽古。

手応えあり。
 


 
月22日

第一部、第二部の場当たり。

淡々と進んだ第一部に比較して、第二部は昨日のつまづきがまだ少し後をひいている感じ。

あきらかに俳優の緊張感が空回りしている。

実験的な稽古場を進めてきたので、この段階でのノッキングはもしかしたら無理ないことかも知れない。

とまどいが、ゆえなき不安感や自信喪失につながらないといいのだが。


月21日

仕込みの終わった劇場で照明づくり。

プランナーの斎藤茂男さん、オペレーターの大屋さんとともに、順調に進む。

夕方から、『缶詰族』稽古。

さまざまな意味で稽古場をうまく進めることが出来なかった。

反省、多々。
 


月20日

座・高円寺、劇場創造アカデミー修了上演仕込み日。

島次郎(美術プラン)ならではの、座・高円寺にふさわしい、いさぎのいい空間。

寡黙に、着実に積み上げていく舞台監督の佐藤昭子さんの仕事ぶりが魅力的。

俳優座舞台部と併せて、この贅沢な布陣の意味が修了生たちにきちんと受け止められるといいのだが。

仕込みの進行を横目でにらみながら、明日の明かりあわせ用のきっかけ表をつくる。
 


 
月19日

劇場入り前の最後の通し稽古。

修了生出演の『缶詰族』は二回。

一回目は映像の飯名さんと六名の学生カメラマンが、俳優一人ずつのアップを全編撮影。

舞台上での再現ははたして?

客演者による『赤と黒と無知』は、出来上がった衣裳をつけていつも通りの集中で一回通す。


 
月18日

『缶詰族』、殺陣の栗原さんに通しを見せたあと殺陣稽古の予定。

ところがこの通しが残念ながらうまくいかなかった。

勘のいい栗原さんが演出意図をすっきり受け止めて下さったのがありがたい。

師匠の國井さん譲りの丁寧な指導。

ダメだしのどれもがぼくが稽古中言いつづけているのとまったく同じ。 


 
月17日

昨日やり残した最終場面をチェックしたあと、『缶詰族』をはじめて通す

途中停滞なく生き生きとしたやりとりを最後まで持続できた。

ほっとひと息。

せりふを完全に入れて、あとの演技は毎回フリー、同じことは二度と繰り返さない。

実験的といえば実験的な今回の上演を支える俳優七人のアンサンブルへの萌芽は確実に見えた。 


 
月16日

稽古順調。

『赤と黒と無知』の出演者三人、演出助手の鈴木章友くんと食事会。

高円寺南口近くの秘密のアジトで鍋、生春巻きなど、東南アジアの味いろいろ。

のんびりとくつろげるいい店だが、相変わらず料理の出は非常に遅い。

最後のバリ島風味巻物は終電車時間寸前に登場。
 


月15日

東京は二回目の雪。

大雪には違いないが、一昨年から通っている名寄市の雪を知ると簡単にはそう言えない。

稽古に出かける前に、玄関先の雪かき。

前回と違って雨を含んだ雪が思い。

豪雪地帯にひとりすむ高齢者たちの日々に思いをはせる。
 


月14日

『赤と黒と無知』メークテスト。

『リア』でもお世話になった清水
悌さんのプラン。

黒テントの重森次郎が演じる怪物役。

はじまってから一時間、 見事に変身。

半面髑髏の凄まじい様相がそのまま道化の表情にも見える、清水さんならではの出来ばえ。


 
月13日

アカデミー修了上演、「戦争三部作」第二部。

第二部『缶詰族』、ようやく軌道に乗る。

ここまでくればほぼ安心。

全編、毎回、即興というプラン通りの上演が実現しそう。

みんな、良くついてきた。


 
月12日

俳優たちへのダメだしが、稽古場全員で共有できるようになってきた。

歯切れのいいチームプレイまであとひと息。

演劇の主語はいつでも積極的な「わたし」。

安易な「わたしたち」を拒否してこその集団性なのだ。

唯我独尊への逃げ場はない。
 


月11日

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの審査会と授賞式。

合間に稽古をはさんでの強行軍。

おまけに今年から田原総一郎さんから引き継いだ「審査委員長」の大役。

門外漢の特権で、最終候補作からなんとしても大賞を選び出すのが審査会のミッションと宣言。


二時間の議論の末、久保田桂子監督『祖父の日記帳と私のビデオノート』を大賞に。 


 
月10日

『缶詰族』、一進一退。

『赤と黒と無知』、快調。

しかし、毎日、四時間ずつの稽古場はどちらも同じように楽しい。

上演のコンセプトはまったく同じ。

「どんな意味でも、同じことは二度繰り返さないこと」。
 


月9日

稽古場では、まったく台本を開かない。

というわけで、ぼくの台本はいつでも恥ずかしいほど真新しいままだ。

ところどころに挟んだ付箋がわずかな彩り。

稽古中、家にもめったに持ち帰らない。

ただひたすら、俳優の発する言葉を通してテキストを読む。


 
月8日

劇場入りまであと二週間。

いつでもこのあたりから、飛ぶように時間が過ぎていく。

稽古の合間に事務所のデスクでパンフレット用の原稿を整理。

その他、音楽選びや照明プランナーに渡すメモづくりなど。

ようするに、毎日、日暮れを忘れて遊びほうけている小学生もどき。


月7日

昨夜はとうとう、稽古場の夢。

毎晩のように見る夢の中で、劇場や芝居関連の夢はきまって悪夢。

やれやれ。

昼間の外部出演者との第一部の稽古後、五時過ぎから修了生との第二部の稽古。

と、昨日までの壁は魔法のように消えていました!


 
月6日

終日、「戦争戯曲集」第二部『缶詰族』の稽古。

あと一歩の壁の前に立ち止まったまま、どうしても前に進めない。

過去に何度も経験のある、いわばあたり前の過程のひとつだが、昨年の『リア』以来、軽快な稽古場をつづけてきたのでちょっととまどう。

稽古場で「待つ」ための具体的な方法論。

この年になって、またひとつあたらしい課題が増えた。


月5日

「戦争戯曲集」第二部『缶詰族』稽古。

アカデミー生たちとの稽古場は、文字通り、毎日一進一退の様相。

今日はわずかに「進」!

「焦らず、自信をもって」という彼らへのアドバイスは、半分は自分への言い聞かせ。

ただし、上演そのものへの確信はゆるぎなし。


 
月4日

シンガポールから、来年開催されるマレーシアのクリシン・ジッド没後十年を記念するシンポジウムへの誘い。

演出家にして、アジア現代演劇研究の第一人者。

深い教養、ざっくばらんで温かい人柄、旺盛な行動力で、いつも東南アジア演劇ネットワークの中心にその笑顔があった。

ぼく自身も、八十年代以降のさまざまな交流活動でどれだけ世話になったかわからない。

郭宝崑と三人で、お互いパートナーなモダンダンスの舞踊家である偶然を笑い合ったのが懐かしく思い出される。 


 
月3日

午後、三年間つづけてきた「能、昆劇比較研究」の成果発表会。

早稲田大学の視聴覚教室で、大阪大学の中尾薫さん、香港バブティスト大学のジェシカ・ユンさんふたりによる研究報告と、記録論文集発行を記念したシンポジウムを開催。

「研究代表」というこそばゆい肩書は別として、あらためてこのこころみを通して自分の得たものの多さを実感する。

シンポジウムにも参加して下さった演劇博物館前館長竹本幹夫さんをはじめ日本側参加者、協力者のみなさん、そして中国側のパートナー、長年の友人、香港のダニー・ユン、南京の昆劇院の面々への感謝はつきない。

中国側ではすでに始まってている次への展開への対応を着実に 


 
月2日

「戦争三部作」稽古。

今年は第一部『赤と黒と無知』は、アカデミー修了生ではなく外部からの客演を迎えての上演。

前から一度、一緒に芝居をつくりたかった、下総源太郎さん、占部房子さん、そして黒テントの重森次郎との稽古場は修了生たちとの稽古場とは違った緊張感。

なんというか、演出に求められているもの、委ねられているものの質が違う。

一日三時間、短く、緊密な稽古の積み重ねは去年の『リア』の時と同じ。 


 
月1日

このところ、劇場への行き帰り、スマートフォン経由の「青空文庫」読書が復活。

ちくま文庫版全集(三巻)を通読した中島敦を再読。

全集の解説には日本におけるフランツ・カフカのもっとも初期の読者とあった。

有名な『山月記』へのカフカ『変身』の影響を指摘する研究もあるらしい。

その同時代性も面白いが、時代を隔てたガルシア・マルケスらのマジック・リアリズムの先駆者とも言えそうな気が。