10月31日

『森の直前の夜』初日。

客席もいっぱいに埋まり、上々のスタート。

上演後、何人かのお客さんからうれしい声をかけられる。

やるべき時にやるべきことが出来たという満足感。

次の一歩が楽しみでもあり、難しくもあり。 


 
10月30日

『森の直前の夜』、舞台稽古。

コルテスに真正面から向き合った素直な仕上がり。

照明、仕掛け、その他、昨日の稽古を終えての修正もすべていい方向で解決。

明日の初日が楽しみだ。

大勢の観客に、笛田宇一郎という俳優を満喫してほしい。


10月29日

『森の直前の夜』、仕込み、照明合わせ。

劇場空間は『しあわせ日和』から一変。

夕方から、出演者の笛田宇一郎さんが加わり仕掛けのテストと通し稽古。

『しあわせ日和』もそうだったが、今回は照明、音響のオペレーターの感性が上演の成果に深くかかわっている。

信頼できる中田隆則(照明)、勝見友理(音響)の参加がこころ強い。


10月28日

diaryの日付を10月20日から1日間違えていたことに気づく。

「鴎座」上演活動中の一週間、その他のことについていかに上の空だったかがわかる。

毎度のことだが用心用心。

昼からダンス01スタジオで、『森の直前の夜』最後の通し稽古。

「極私的演劇宣言」が単なるレリックではないことを実証できると思う。 


10月27日

『しあわせ日和』、全4回の上演を終える。

出演者、スタッフワーク、そして会場と客席の雰囲気、そのすべてが思い以上に幸福に融合した四日間だった。

四日後にはじまる『森の直前の夜』への期待が高まる。

今回のダブルビルの意図、受け止めてくれる人はかならずいるはず。

それを信じて、階段をもう一段。 


10月26日

『しあわせ日和』、上演三日目。

見に来て下さったお客さまの評判もよく、舞台も崩れず、快調。

マチネを終えて横浜へ。

バンクアートで開催中の「大野一雄フェス」の関連企画「観世榮夫七回忌追善」。

早稲田の竹本幹夫先生を中心に、銕之丞さん、清水寛二さんと共にトーク。


10月25日

朝、座・高円寺で会議とミーティング一件。

昼からは、ダンス01スタジオで『森の直前の夜』稽古。

上演を一週間後にひかえて、大きな発見と確信を得たとても大切な稽古だった。

夕方からはテルプシコール。

『しあわせ日和』二日目、日々変化しつづける舞台から目を離せない。


10月24日

『しあわせ日和』、初日。

満員の客席に、制作担当としてほっと一息。

最後まできちんとした担当者をたてられずに反省多々だが、個人的には初心にかえって上演活動を原点にもどってとらえ直すいい機会になった。

上演内容には自信をもっている。

この財産を足掛かりに、来年からの「鴎座」新展開の構想を。 


10月23日

『しあわせ日和』、舞台稽古。

電気の容量が少なく、卓もマニュアルという制限の中での照明(デザイン、斎藤茂男さん)がいい感じ。

他にも、音響の「天才」島猛さん、細かな注文にも労を惜しまない舞台監督の森下紀彦さん、長年のコンビを組んできた演出助手の鈴木章友さん、オペレーターの中田隆則さん(照明)、勝見友理さん、手伝いに来てくれた、黒テントとアカデミー出身の若い仲間たち。

小さな舞台でも、いざ、幕を明けるとなると多くの知恵と技術とエナジーが必要になる。

そして集まったみんなが託し、それを引き受けるパフォーマーの存在。


 
10月22日

「鴎座」、小屋(テルプシコール)入り。

1981年開場、命名者は舞踊評論家、故市川雅さん。

多くの舞踏家たちの登竜門となっているこの小屋の活動履歴は、いつか誰かがきちんと評価しなければならない。

他にもタイニーアリスとか、スズナリとか、この国の劇場文化を黙々と支えてきた老舗小劇場と、場所を「劇場」たらしめた人の存在。

この小屋でいえば秦宜子さん。


 
10月21日

小屋入りを前に、「鴎座」二作品の合同通し稽古。

長めの休憩を入れて三時間半。

充実し、個性あるダブルビルが実現する。

二作の並列は、今回の「極私的演劇宣言-あなたに伝えたいことがある」の何よりもの表徴。

さあ、仕上げは劇場での「窯変」だ。


10月20日

「鴎座」通し稽古。

『しあわせ日和』『森の直前の夜』、どちらも「鴎座」第Ⅱ期上演活動の最終レパートリーとしての手応えは充分。

贅沢な、そして真摯な上演を確信する。

不在の他者の呟き……「あなたに伝えたいことがある」。

目を凝らし、耳を傾けよう。 


10月19日

「鴎座」稽古、休み。

終日、自宅で事務作業。

たまった書類の整理以外は、ほとんどが「鴎座」の制作業務。

来し方行く末に思いを巡らしながら、坦々とすすむ。

当日配布のパンフレット掲載の短文、脱稿。 


10月18日

『森の直前の夜』、上演で予定しているずぶ濡れ男の実験。

舞台監督の森下さんが用意したかわいらしい子ども用プールを膨らまして、中にうずくまった笛田さんに、頭から如露で水をかける。

全身から水滴をしたたり落ちさせて、ふらりと舞台奥に立った笛田さん。

その脱力感と一気に稽古場にみなぎった緊張感とのコントラストが面白い。

ひとりコントのギャグ寸前のたたずまいまで、あと一歩。


10月17日

ようやく秋。

一方で、伊豆大島の台風被害。

小学生のとき、卒業文集に、伊豆大島に「こどもの国」をつくる妄想プロジェクトについて長い作文を書いた。

ディズニーランドの幼稚版みたいな内容だったが、その実現性について、「たとえばソ連ならばすぐにできる」と自信満々だったのが微笑ましい。

作文を書きながら何度も調べた波浮港周辺の大島地図は、いまもくっきりと頭に浮かぶ。


10月16日

『しあわせ日和』一週間前、『森の直前の夜』二週間前の稽古場。

参加スタッフの顔も増え、上演間近の雰囲気ひたひた。

両上演とも、出演者との信頼関係と共同作業はこれまでにない密度。

心配なのは集客。

数ではなく、見せたい人には絶対に見逃して欲しくない。


10月15日

午前中、座・高円寺でアカデミーⅣ期生修了上演の顔合わせ。

上演作品は、Ⅰ期生以来、エドワード・ボンド『戦争三部作』

四年目の今年、はじめての三部一挙上演となる。

上演時間、六時間越えは確実か。

プロ俳優三人(占部房子、下総源太郎、重森次郎)、アカデミーⅠ、Ⅱ、Ⅲ期修了生八人が応援参加。


10月14日

『アメリカンラプソディ』、三回の上演を無事終了。

月末には、浜松のジャズ・フェスチバルへの参加が決まっている。

ただし、「鴎座」上演と重なり演出家は不参加。

終演後、挨拶の楽屋まわりで出演者の了承を得る。

さあ、あとは24日の初日まで「鴎座」一直線。 


10月13日

「鴎座」稽古、『森の直前の夜』も『しあわせ日和』もガシガシと進んでいる。

今日は、『しあわせ日和』のけいこ場に鬘の川口さん登場。

黒テントをはじめ、いろいろな舞台でいつもお世話になっているスタッフのひとり。

低予算のけいこ場に助手さんをともなって現れ、仕事外の帽子の補修まで。

出演者、スタッフの熱意にこたえるためには、観客席をひとりでも多くの人で埋めないと。 


10月12日

『アメリカン・ラプソディ』初日。

作者、斎藤憐さんの命日(三回忌)。

毬谷友子さん、斉藤惇さんの朗読で憐さんの言葉が生き生きとよみがえる。

佐藤允彦の緻密な構築性と、ジャズならではのドライブ感が交錯するピアノ演奏、見事。

上演後、カフェ、アンリ・ファーブルで献杯。 


10月11日

夏日がつづく。

「鴎座」上演まであと二週間。

初日の頃はどんな季節感なのか、予想がつかない。

ベランダの朝顔は今日も健気に。

わが風土から四季は去り、亜熱帯の歳時記が必要か。 


10月10日

「鴎座」の稽古、今日はお休み。

午前中、定期検診のため近くの病院へ。

めだった変化なし。

ようするに塩分ひかえめ、散歩たくさん、ね。

午後から、『アメリカン・ラプソディ』劇場稽古。


 
10月9日

「鴎座」稽古、坦々と進む。

『しあわせ日和』『森の直前の夜』、ともに、とえあえずの全体の骨格が定まる。

ここからしばらく、それぞれの作品についてまったく異なるアプローチが必要そう。

より細部に目を向ける『しあわせ日和』、可能な限り、細部へのこだわりを捨てる『森の直前の夜』。

とどのつまり、目指すところはまったく同じなのだけれど。 


10月8日

ダンス01スタジオでの稽古二日目。

作品へのアプローチも稽古方法も、それぞれまったく違う二作品。

共通するのは、すべてを演者にゆだねる演出者のスタンスだろう。

ゆだねるからこその演出者の立ち位置。

いまようやくその場所と視線の方法が見えてきた。 


10月7日

今日の「鴎座」は、新装なったダンス01のスタジオがけいこ場。

演出助手の鈴木章友、舞台監督の森下紀彦、照明プランの斎藤茂男までが揃い、稽古体制は一気に贅沢に。

午後、『森の直前の夜』。

夜は、上演用セットを仮組みしての『しあわせ日和』。

これから三週間、腰を据えた稽古の実現を確信する。


 
10月6日

笛田宇一郎さんとたったふたりきりの『森の直前の夜』のけいこ場。

二時間半、根気よくせりふ覚えのためのエチュードに挑んだあと、冒頭から一気に全体の五分の一ほどを通す。

演出家だけが出会える、なにかに向かってパフォーマーが一気に飛び立つ一瞬との出会い。

と、表現するとなにやらものものしいが、二十分間、ひたすらゲラゲラ笑い続けた。

黒テント版『三文オペラ』での、いまは亡き福原一臣とのふたりきりの深夜稽古以来の体験。


10月5日

『アメリカン・ラプソディ』稽古二日目。

夜はいよいよ佳境の『森の直前の夜』、稽古。

合間に、劇場二階のカフェ、アンリファーブルで、千穐楽を迎えた『旅とあいつとお姫さま』の打ち上げ。 

今日も一日、なんとも充実した劇場暮らし。

たしかに、子どもの頃からの夢だったな。


10月4日

『アメリカン・ラプソディ』稽古、始まる。

ケイ・スウィフト役は10年ぶりの毬谷友子さん。

昨日送った訳詞も、何とか気に入ってもらったようだ。

ヤッシャ・ハイフェッツ役には俳優座の斉藤惇さんを迎えた新キャストバージョン。

五年目の今年、劇場レパートリーの面白さがいろいろな意味で定着してきたようだ。 


10月3日

『森の直前の夜』、稽古再会。

笛田さんのせりふおぼえ、最終場面に到達。

どうやら第一の峠越えを終える。

確認のため、終幕十五分を三回繰り返した後、早速、冒頭に戻りつぎのステップへ。

最終場面→冒頭とつなげてみると、コルテスの綿密なテキスト構成が見事に浮かび上がる。


10月2日

夕方、帰京。

東京までのフライト中、膝に置いたノートPCで、4日から稽古がはじまる『アメリカン・ラプソディ』挿入曲の訳詞作業。

ジョージ・ガーシュインの『Someone To Watce Over Me』。

ジョージの兄アイラによる、ひねりのある原詩相手に四苦八苦。

字数あわせの趣のある訳詞づくりは、いつか機内での暇つぶし用パズルに似て。


10月1日

打ち合わせの合間、ついこの間まで日本最北の映画館だった(2010年に稚内にオープンした)名寄第一電気館で映画観賞。

上映作品はバズ・ラーマン×レオナルド・ディカプリオの『華麗なるギャツビー』。

往時の雰囲気そのままの200席足らずの映画館でみるのには、最適の作品だったかも知れない。

観客六人、上映途中でもぎりのおばさんが、サービスのインスタントコーヒーを配ってくれた。

フィルム上映のチラつく画面には、映画ならではの手の届かない「夢の世界」が。