2月28日

アカデミー二期生試験。生田萬さんと、八時間余、劇場稽古場にこもる。手前味噌を披瀝すれば、先週の大阪とあわせて、二年目にして早くも、座・高円寺でなければとういう受験生の顔(地域活動主体とか、経験者のブラシュアップとか)がちらほら見えるのが収穫。

2月27日

近くまで出かけたついでに、自由ヶ丘を散歩。小学二年生から中学三年途中まで暮らした町。駅前から線路沿いにつづく「自由ヶ丘デパート」「ひかり街」という、戦後すぐのマーケットから発展したうなぎの寝床のような商業施設はいまだに健在。イナゴ佃煮の思い出。

2月26日

考えてみりゃ、間違いや不正をガードするためには、まあ、この程度のややこしさは必要かも知れない。が、それにしても、だ。去年からTVコマーシャルなどでさんざ喧伝されたE-taxなる確定申告電子システムの、いやはやな面倒臭さ。頭痛肩こり耳鳴り眩暈など。

2月25日

「ベケットカフェvol.3」の宣伝文を書きながら、いまさらのように、人は何なにを期待して劇場に足を運ぶのだろうかと考える。足を運ぶではなく、逃げ込む、という方が正解かも知れない。「制度」や「習慣」にあぐらをかいた劇場の媚態に、今度は「劇場法」の罠かな?

2月24日

午前中、座・高円寺。月一回の定例調整会議。指定管理者、区の所管、芸術監督が参加する通称「三者会議」。予算、運営、事業について、意見交換&課題解決の場として、開館前の準備段階からかなり有効に機能してきたと自負。情報の率直な共有が鍵かと。

2月23日

杉並文化協会の助成金審査会。始まってから足かけ五年目の区民、在住団体を対象にした助成制度。先日、朝日新聞に記事が出たせいかにわかに応募が二倍以上に増えて、書類読みにひと苦労。会場として「座・高円寺」の利用が多い分、吟味はより慎重に。

2月22日

内田樹『日本辺境論』(新潮新書)。面白くなくはない。思わず「そーだねー」と相槌を打ちそうになるところも多い。だけど何かがひっかかるというか、眉に唾というか、「ちょっと危ねー」と身構えるというか、とにかくそんな感じ。「編集工学」者、松岡正剛と何故か似て。

2月21日

伊丹、アイホール。劇場創造アカデミー二期生、関西受験組の試験。実技、面接、ペーパーテスト。演技志望五、劇場環境志望一、計六名の初々しい演劇志望者たち。今年は実技、ペーパーテスト共にちょっと意地悪な出題になったが、採点基準は別なところに。

2月20日

昨年末の入院から三ヶ月が過ぎた。今回の経験ではっきりしたことがひとつ。たとえ身体が悲惨な消耗状態にあっても、意識はかならずしもそれとは並行しないということ。幻視も妄想もまことに生き生きと、あえて言えば「生命力のあるイメージ喚起」に終始していた。

2月19日

立教大学の中村陽一さんとアカデミーの授業「劇場環境論」の打合せ。中村さんからは、毎回、たくさんの刺戟と考えるヒントを頂いている。終わって、上海万博関連のスタッフミーティング。ようやく日本側チームの顔が揃う。実質的、かつ生々しい作業へ歯車ゴトリ。

2月18日

莫言『酒国』(藤井省三訳/岩波書店)。中国版マジックリアリズム。著者自らが影響を認めているガルシア・マルケスとの違いは、莫言にある「奴隷の言葉」の表情。複雑な三重構造など面白く一気に読ませたが、中国の表現者にままある「達者さ」がちょっと煩い。

2月17日

絵本作家(その他いろいろ)の「tupera tupera(亀山達矢さんと中川敦子さんのユニット)」と打合せ。今年のキジムナーフェスタを目指して計画中のパフォーマンス『ピン・ポン』について。過去三年間の経験をもとに、子どもたちと一緒に想像力の冒険旅行に出かけよう。

2月16日

区立沓掛小学校で、小学校の校長先生方との会合。座・高円寺の「あしたの劇場」(区立小学校四年生全員を劇場に招待)について話す。公立劇場のあたらしい取り組みには、劇場、教育委員会、現場の先生、三者の精神的な一体感、相互信頼が欠かせない。

2月15日

雨模様。午後からの打合せ外出の前に、ジジェク『パララックス・ヴュー』を読み始める。全752ページのずしりと重い大型本。「同じ[出来ごと]の違う[あらわれ]は相互に関係づけられない」(誤読的要約)という一見明快な入り口からの迷路を当分ふらふらさまようことに。

2月14日

終日、自宅作業。合間にネット動画で柳家喬太郎を二席。『時蕎麦』『井戸の茶碗』。なめらかに首尾一貫する『時蕎麦』の技巧を越えて、ごく当たり前の古典口調と枕をふくめて炸裂する喬太郎節が水と油のまま交錯する『井戸の茶碗』の不可思議な迫力に★4個。

2月13日

ロシア出身の美術家カバコフの図録『プロジェクト宮殿』(国書刊行会)。「自分を改善する方法」「世界を改善する方法」「プロジェクトの発想を刺戟する方法」の三部にわたって、さまざまなアイディアを展示するインスタレーション。どこか「希望」を秘めた表現の初々しさ。

2月12日

名古屋。世界劇場会議2010に出席。建築家伊東豊雄さんとともに基調講演&名大の清水裕之さん司会によるセッションのパネラーをつとめる。前回参加した第一回目の会議は、会場の愛知芸術文化センター開場の93年だった。来し方、行く末を思い、感慨多々。


2月11日

ジャズピアニストの佐藤允彦さんと、クリスマスに上演するジョージ・ガーシュインを題材にしたピアノwithリーディングの打合せ。
新宿ピットインでの深夜ライブの休憩時間、道端でアレンジ仕事を淡々と片づけていた允彦さんを思い出す。優しい笑顔はその頃のまま。

2月10日

広瀬和生『この落語家を訊け!』。
このところたてつづけに書店に並ぶ落語本の一冊。音楽評論家でもある著者による贔屓落語家へのインタビュー集。当代の人気者を揃えた師匠連の語り口が、二、三の例外をのぞいて、やれやれとため息の出る感じの悪さ。

2月9日

朝、
区役所へ。E-TAXなるネット経由の確定申告の手続き。毎年の書類書きが楽になるとの予想からだったが、住基ネットカード利用しまくりの気分と後味の悪い申請作業。加えてカード読取機なるハード購入の必要もあり。まんまと術中にはまってしまったような。

2月8日

自主休養日。朝八時から、恒例のNFLスーパーボールTV観戦。判官贔屓で応援していたペイトン率いるセインツが、後半、スーパーQBマニングを擁するコルツを逆転。正午までの四時間をのんびりと楽しむ。HTショウはザ・フー。微笑ましき老人体型にて熱演。

2月7日

朝、三月と四月の長期滞在宿舎の下見。交通アクセス、環境、設備など。空間的には贅沢な、内装、家具など充実のコンドミアム。会場近くの再開発地域とういうことで、周辺環境の味気なさは致し方ないか。虹口空港から羽田直行便で帰国。機内で『This is It』。

2月6日

上海へ移動。午後、上演会場を下見する。昨年暮、建物の竣工式を終え、目下、展示のための内装工事の真っ最中。足場の組まれた劇場部分を中心に、舞台監督の北村さん、音響の島さんともども細部のチェックと確認。現場事務所で問題点の整理、いろいろ。

2月5日

南京、最終日。服部さんをまじえて、昆劇の伴奏音楽について演奏家たちからのレクチャーを聞く。午後からは俳優たちが試作したピースに即興で音楽あわせ。昨秋からの前段階作業、すべて終了。試行錯誤の日々への昆劇院の協力体制には感謝の言葉もない。

2月4日

作曲の服部隆之さんをまじえてダニー・ユーンと打合せ。音楽構成について整理する。作業の各段階での丁寧な意志確認と次のステップへの課題整理は、今回のような国際的共同制作ではいつもに倍する慎重な対応が必要。「信頼感」という言葉に甘えることなく。

2月3日

南京、三日目。東京ではなんでもなかった、塩分、カロリーなどの食事制限が中国ではさすがに難しい。ちょっと油断していると、たちまち規定をオーバーしそう。本日は、昼食を朝のバイキングからくすねてきたロールパンふたつで我慢。意識的な油抜きに挑戦。

2月2日

昼間は昆劇院の俳優とのワークショップ+出演する子どもたちと啓子のワークショップ。夜は梅若晋也さんたちにお願いした能のデモストレーション。ダニー・ユーンとの年来のテーマのひとつ、アーチスト同士の直接交流が思わぬ機会に実現。将来の実りに期待大。

2月1日

南京、第一日。朝、ホテルで協働演出のダニー・ユーンと打合せ。午後から四カ月ぶりの昆劇院。これまでの作業のワーク・イン・プログレスを見学する。東京サイドのスタッフ・ワーク(映像など)とイメージを重ね合わせながら、今後の進行を話し合い。作業、佳境。